2014年3月8日土曜日

●『スウェーデンはなぜ強いのか 国家と企業の戦略を探る』(北岡孝義 PHP新書 2010) 

本書の中で、代表的なスウェーデン企業として紹介されているのが、H&Mとイケアである.
この2つの企業に共通しているのは、高品質と低価格はもちろんだが、スウェーデンの国家や国民性に基づく環境および労働条件への配慮が傑出している点だ。
この国家・国民の基盤については「国民の家」という国家理念に見ることができる。
一方、ボルボやサーブが破綻しても政府は救済しないという、非常に市場原理主義的な側面もある。

スウェーデンは、持続可能な社会保障制度を重視している。
税金は非常に高い。しかし医療費は、20歳以下は原則無料で、20歳を超えても、自己負担の上限が、900クローナ(12000円相当)と定められており、それ以上は原則無料である。
託児所も無料だ。教育費は、原則大学・大学院まで無料である。

高福祉高負担には、当然、国民の痛みがともなう。
しかしその施策を国民が受け入れている根底には、政治への信頼がある。
徹底した情報公開・運営の透明性と政策の説明責任がその背景にある。
そして「どんな国にしたいのか」という国の目指すべき姿を長い時間をかけて議論し、作り上げてきた歴史がある。

一方、日本には現在、政治への信頼があるだろうか?
投票率の低さを見ても目を覆うものがある。
政治家への不信感を嘆くのはなんら解決策を生まない。
国民ひとりひとりが「この国の将来」を考える力をつけていくことが、喫緊の課題なのかもしれない。

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