2014年1月9日木曜日

●『リバース・イノベーション』(ビジャイ・ゴビンダラジャン,クリス・トリンブル ダイヤモンド社 2012)

「リバース・イノベーション」とは、グローバル企業が自社のリソースを活用して、新興国で一からサービスや製品や市場を開拓し、そこで完成したものを先進国や自国に還流することを指す。

その国に合った製品やアプローチで攻めていくことは、考えてみれば当たり前の話である。しかし、いわゆるドミナント・ロジック(長年の経験・知識の蓄積のなかで選び抜かれた、当該組織専用の成功のロジック )でがんじがらめになっている大企業にとっては、なかなか簡単にはいかない。

富裕国には10ドル使える人が1人、貧困国には1ドル使える人が10人。富裕国向けに作られた製品の廉価版は外部環境が違う貧困国では売れない。
売るためには、ゼロからマーケティングを行い製品を作る必要がある。

新興国の未来は先進国の現在ではない。新興国は先進国とまったく別の進化をたどっている。本書は新興国向けの製品が先進国のダウングレードでは通用しないと示唆している。

たくさん事例が挙げられていたが、特に印象に残ったのは、ロジテックのマウス、P&Gの生理用品、GEの携帯型心電計の3つだ。

新興国で開発した製品やプラットフォームが、先進国の隠れたニーズを引き出し新たな市場を作り出すことができる。それがリーバス・イノベーションの肝と言えよう。

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