2014年1月13日月曜日

●『文化資本論 超企業・超制度革命にむけて』(山本哲士 新曜社 1999)

日本企業は、経済効率を重んじて、ヒト・モノ・カネを動かしてリノベーションを続けてきた。その経済成長に依存してきたあまり日本の国際競争力は失われてきたと言っても過言でないだろう。
この閉塞状況を打開するためのキーワードのひとつが、本書が説く「文化資本」である。

「文化資本」と言うと、仏・社会学者のピエール・ブルデューが提唱した概念、「個人の中に蓄積した文化資本が、結局その個人の将来の学歴、地位、収入などを決めるようになる」と通常解釈されるが、筆者の説く文化資本とは、それとは異なり経済学的な意味が含まれる。文化は一般的に経済や経営に遠くかけ離れているものと思われがちだが、実は次の経営に活かせるストックであり、資本であるとしている。

経済資本の蓄積と短期的な利潤を追求した20世紀型の企業活動を超え、企業に蓄積された文化資本を経営の基軸に置くことで、人間性や地球環境と矛盾しない持続的な経済発展の形を考えるべきである、というものである。

日本企業が得意としている改良や改善は、既存の価値を効率よく生み出す「リノベーション」に過ぎない。本当の意味で創造的な活動というのは、既存の価値の延長線上にはない。
私たちはリノベーションではなく、「イノベーション」によっての文化的な価値を創造し、新たなステージにのぼる必要性がある。

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