2014年1月11日土曜日

●『イノベーション・オブ・ライフ ハーバード・ビジネススクールを巣立つ君たちへ』(クレイトン・M・クリステンセン, ジェームズ・アルワース, カレン・ディロン (著), 櫻井 祐子 (翻訳)  翔泳社 2012)

昨年、半分位読んでいたものを遂に読了。
本書は「イノベーションのジレンマ」の著者・ハーバード・ビジネススクールのクレイトン・M・クリステンセン教授によるものだ。
「イノベーションのジレンマ」は、巨大企業とイノベーションについて描かれた経営学の名著で、私も大学院時代に論文を書くために読んだ。

本書は2007年から2010年の間に悪性腫瘍や心臓発作、脳卒中など数々の病魔と戦いながら執筆されたという。そのため、クリステンセン教授が教えてきた経営戦略論を人生訓に落としこみ、ハーバード・ビジネススクールの卒業生に向けて、人生のジレンマを乗り越えて生き抜くためのメッセージの数々が網羅されている。

特に第一部の「キャリア」についての考察が、個人的には印象に残った。
仕事へのモチベーションには「衛生要因」と「動機づけ要因」の2種類がある。
衛生要因は、「少しでも欠けると不満につながる」ために、どんなに改善しても仕事を好きにさせることができない。「報酬」などがこの要素に当たる。ちなみに「動機づけ要因」には、やりがいのある仕事、他者による評価、責任、自己成長などがある。
その他、キャリアの創発的戦略と意図的戦略、自分という資源の配分方法などが紹介されている。

原書論文のタイトルはこうだ。
"HOW WILL YOU MEASURE YOUR LIFE?"
(あなたは自分の人生の価値観をどこに置きますか?)

自分の原点はどこにあるのか。地位や名誉にとらわれることなく、自分の一番大切とする動機、達成感を基盤とすること。
それをもとに幸福に生きることを見出すことが必要だということを投げかけている。「経営論」の枠を超え、「人生論」として読みたい一冊だ。

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