2014年1月3日金曜日

●『どっこい大田の工匠たち 町工場の最前線』(小関智弘 現代書館 2013)
大田区には、従業員3人以下の現場を対象とした「大田の工匠100人」という表彰制度がある。
その審査員のひとりで、町工場で旋盤工として働きながら、数々の作品を世に出してきた小関智弘氏が17人の工匠たちを訪ねたルポルタージュだ。

のっけから登場する安久工機さんの医工連携のエピソードを始め、包丁作りや江戸切子、民族楽器のスティール・パン職人など、大田区が得意とする機械金属加工の職人のみではないユニークな事例も含まれている。

職人たちに共通しているのは、長い下積みの日々を送り、ときには理不尽な要求も受け入れる。それでも研鑽を続け、他所ではできないモノづくりの技術で生き抜いてきたこと。

彼らが残してくれているものは、モノだけではない。確かなモノをつくりあげてきた生き方への矜持だ。大田区に生きる町工場の職人の息吹を愛情をもった表現で感じられる良書だ。

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